ボツワナに派遣される前に、アフリカのマリ共和国でエイズプロジェクトをしている日本人がいると聞いた。
それが松本英揮さんだった。
この人に会いたくてメールしたら、今はブラジルにいるという。世界各地を旅して講演しているらしい。今度マリに行くのでその時に会おうということになった。
ボツワナからマリに行くには、ヨハネスブルグ(南アフリカ)→ ダカール(セネガル)→ バマコ(マリ)を経由することになり、日本から行くのと変わらないくらい、お金も時間もかかる。
特に経由地のダカールは「地球の迷い方」もとい「地球の歩き方」や「ロンリープラネット」にも危険であることが書かれていた。読めば読むほど行くのヤバいと思ってしまう場所だった。ダカールに着くのは真夜中。そこからホテルのある市街地に行くにはタクシーしかないが、このタクシーで悪いドライバーに当たると、身一つで放り出されたり下手をすれば命を失うことにもなりかねない様な場所。かといって空港内で一夜を過ごすのも危険。結局覚悟を決めて市街地のホテルを予約した。
ダカールの空港に着くと異様な雰囲気。真夜中ということもあるが、空港内も薄暗い中で、アフリカ人の目だけが異様な光を放ってる。今日の獲物を探してるような感じ。
セネガルの通貨を持っていないので、ゲートを出る前に警備員に両替できるところを聞いた。オフィシャルな両替所ではないので両替も高いレートで騙されることも覚悟していたが、この警備員がいい人だったのか、それなりのレートで両替してくれた。
さて、ゲートを出て運命のドライバー探し。言葉も通じないし自分の勘だけが頼り。後は委ねるだけ。
ドライバー決めてタクシーに乗ってからも、ずっとドライバーのおっちゃんを凝視していたと思う。本当に「地球の迷い方」には不安にさせられる。真夜中で道もどこを走ってるかわからない。どこかで降ろされるんちゃうやろかと心配していたが、無事にホテルまで送り届けてくれた。ホテルに着いてようやく安心感で爆睡。
バマコ行きの飛行機は午後2時頃の出発だったので、翌朝はダカールの街を散策。それでも気は抜けない。
歩いてるうちにダカールの雰囲気や空気感がわかってきた(つもり)。
ダカールは観光地化しており日本語で話しかけてくる現地人が多く、結構高い値で物を買わされそうになった。
一度ホテルに戻り、チェックアウトして街で食事してから空港へ。空港にもタクシーで行くことになるが、昨日と違ってまだお昼なので安全だろうと思っていた。
街で食事した後にタクシーを探している時に、2人連れの若い兄ちゃんに声を掛けられた。
「このジーパンかっこいいな!」と言いながらズボンを触ってくる。こっちは運命のタクシー探しで忙しいのにと思いながら、タクシーを見つけて乗り込んだ。
来た時と違って、昼間なのでタクシーの中から道路の案内標識を見て空港に向かってるのを確認して少し安心。ダカールの街並みを見る余裕も出きていた。財布を出そうと探したが見つからない。さっきの2人づれにスられたと気付くのに時間は掛からなかった...朝の散歩で、気を許してしまったのか緊張感が足りなかった。いいカモだった。
空港についてもショックを引きずっていたが、飛行機の出発が3時間ほど遅れることがわかって、またまたショックを受ける。英揮さんとは空港で待ち合わせしてるだけ。私の方が空港に先に着くので待っとけばいいと思っていたが、これだと英暉さんの方が先に着いてしまう。連絡先も聞いてないし宿泊先も友達の所としか聞いていない。会えない可能性もある。アフリカに来てまだ数ヶ月。旅に慣れてるわけでもないのに、調子に乗ってよくダカールやバマコに行く気になったなと改めてアホな自分に反省。
バマコに着くとダカールと違って空港は賑やか。その中、肩を落としながらトボトボと歩いていると、私の名前を書いたプラカードを持ってる見知らぬマリ人がいた。私が名乗ると英揮さんに頼まれたと笑顔で教えてくれた。
英揮さんの友達だった。救われた思いだった。
英暉さんの便も遅れてて到着していなかったので、そのまま空港で待ってようやく英暉さんに会うことができた。
旅で学ぶことは多い。